2008年01月29日

メテオ・スイーパー

ここしばらく集中して観た『ストラトス4』というアニメ作品。2003年1月に放送が始まり、1クール13話で描ききれずに、その後OVAが都合3回出て全部で8話追加され、2006年の秋に最終巻が発売されたという…。テレビ放映から最終話まで4年近くかかってますね。ファンの方は、その間やきもきしながらOVA発売を待っていたことでしょうね。一応説明しておきますと、”OVA”というのは”オリジナル・ビデオ・アニメーション”または”オリジナル・ビジュアル・アニメーション”のことで、乱暴に説明すると、テレビ放映や劇場公開の前にDVDなどのメディアで発売される形式のことです。
さて、この『ストラトス4』という作品は、近未来、流星や隕石・彗星などが地球に衝突する危険を回避するため、宇宙空間ではコメット・ブラスター、地上からはメテオ・スイーパーという迎撃部隊が出動し、それらを粉砕するというお話。舞台となっているのは、沖縄県宮古島に近い下地島という所。ここが、ポイント。この下地島という場所。実は、現実世界でも軍事的に非常に重要な場所。沖縄本島と中国大陸との中間地点に位置していて、尖閣諸島にも近い。そこに、下地島空港というのがあります。これが、1970年代から民間の訓練用の空港として使われてきました。ダブルILSといって、滑走路の両側に航空機を誘導するために電波を発信する装置がつけられている立派な滑走路があります。位置的にも設備的にも、日本の自衛隊も米軍も、軍事的に利用したい要所。しかし、ここで問題となるのが屋良覚書というもの。1971年当時、時の琉球政府と日本との間に交わされたこの覚書によって、軍事利用はできないことになっているのです。これが現実のお話。

この作品の中では、第一段階として巨大隕石を宇宙ステーションからコメットブラスターが出撃しトライデント・ミサイルで攻撃して大まかに粉砕。第2段階として、粉砕された破片の進路上にあたる世界各地から地上の迎撃部隊が成層圏まで飛んで残った破片を迎撃するというシステムになってます。その地上迎撃部隊のひとつが下地島に配備されているという設定。現実には軍事利用できない場所が、戦争ではないけど国防上使用されているという夢の設定なわけです。
メカがこれまた奮っていて、例えば、地上部隊の超高高度迎撃機は、開発が中断されて実際の運用まで漕ぎ着けなかったという、イギリスの幻の超音速攻撃機偵察機TSR-2をベースに製作されたものと、旧ソ連の高高度超音速迎撃機MiG-31をベースに製作されたもの。などと説明してもよくわかりませんね。すごいところをみつけたのでコチラをどうぞ。どうやら、DVD特典のデスクトップ・モデルを使って、実際に飛んでいるような画像を作成されたようです。すごい出来。本当に飛んでるみたい…。機体を見ていただくとわかるのですが、実にリアルな、しかし実際運用されなかった機体が飛ぶというような夢のある設定となっているのが、この作品なのです。
あとね。迎撃のシーンで流れてた音楽に笑いました。ホルスト「惑星」がコンパクトにパクられてます(笑)
作品全体としては、例えて言えば『機動警察パトレイバー』もしくは『プラネテス』みたいな地続きな未来感覚で貫かれていて、微妙にリアルな感じがよいのですが、アニメ作品としては古めかしく感じますね。21世紀の作品なのに、80年代みたいな。CG部分なんかは綺麗なんですよ。

この作品で描かれているのは、宇宙空間に飛んでいくための基地としての下地島空港ですが、現実問題として、尖閣諸島をめぐる諸問題が起き、米軍駐留に反対する沖縄県民の民意とは裏腹に、下地島を含む先島諸島の住民の方たちは2004年11月に起きた中国潜水艦による領海侵犯により危機感を募らせ、下地島に自衛隊の軍備を望む声も上がったといいます。下地島を題材としたアニメ作品の放送開始から約2年。机上の空論とも思えたような話が、急に現実味を帯びてきました。アニメでの敵は宇宙であり、地球内のイザコザを描いたものではありませんが、下地島という場所に着目していることは、特に原作のないオリジナル作品としては高く評価してよいと思います。

おまけ。昔、『メテオ』(1979)という映画がありました。劇場で観てパンフも手元に残っているので印象が強いのですが、地球に降ってくる巨大隕石に対して米・ソが協力してその危機を回避しようとするという作品。両国が宇宙に配備しているミサイルを使って隕石を粉砕しようとするのですが、SF的なVFXとかの描き方は時代が時代ですから無理があるとして、技術的にもその時代を描いてるから直接人が宇宙空間に行って隕石を攻撃するなんて派手なことにもならない。だけど、巨大隕石の迎撃を初めて正面から描いた作品じゃないのかな。冷戦状態の米・ソが協力せざるをえないという状況も面白いし。このときのソ連側の宇宙に配備されたミサイルの名がピョートル大帝。ちょうど昨晩の「世界遺産」でサンクトペテルブルグをやってて、ピョートル大帝の名前が出てきて、自分で勝手に記事に書こうと思っていたちょうどそのときに出てきたので笑っちゃいました。
近年だと、1998年にほぼ同時に公開された『ディープ・インパクト』『アルマゲドン』もそうですね。小惑星や巨大隕石・彗星などが地球に衝突するということは考えられないことではありませんし、使用後放置されている人工衛星などが墜落してくる危険性も決して少なくないはずです。実際、ニュースでも度々その可能性が報じられたりしてますし。まったくのフィクションとは言い切れない。いつか”その日”はやってくるかもしれないのですよね。

ちなみに、日本では日本スペースガードセンターというベタなネーミングの本物の機関がありまして、日々地球に衝突しそうな小天体やスペース・デブリを監視してくれているのでありますよ。ありがたいことです。コチラのHPでは、見つけた彗星などの画像が見られます。しかし、仮にそんなもんが見つかったらどうするのでしょう?落下地点や規模にもよりますけどねぇ。誰か迎撃してくれるのかな?
posted by nbm at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック・アニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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