2021年02月09日

2020年に読んだ本 その4

『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』 甲斐みのり
BSテレ東でドラマを知り、原作を読むことに。ドラマは未見。
いつか行ってみたいとか、行ったことはあるけれどじっくり見学したことはないというような建築ばかり。
旧小笠原伯爵邸は、シガールームの外壁タイルがかわいい。


「武蔵野樹林」第1号
以前から読もう読もうと思いつつ2年も経ってしまった。
ちょうど、KADOKAWAさくらタウンのプレオープン中に行ったところでもあり、今読んでいる『縄紋』でも武蔵野台地の話がからんできていて、面白い。やっぱり、この第1号は購入すべきだったな。手元に置いておきたい内容。宮台真司のコラムなども面白いのだけれど、やはり、地理学者による武蔵野台地の解説とか、中沢新一の「武蔵野アースダイバー」みたいな部分が興味深い。2号以降も読んでみようっと。

『縄紋』 真梨幸子
自費出版用に素人が書いた『縄紋黙示録』という本を担当することになった校正者の話。「預言書」だというこの本はどうやら縄文時代について書かれているようなのだが、現代の東京は文京区辺りを中心にアースダイバーよろしく土地の記憶を遡る。
「縄文」でなく「縄紋」。タイトルを見ただけでもう何かありそうじゃないですか。私のようなアースダイバー・ファンには堪らない1冊。校正者を主人公に設定したのも巧い。私も仕事でちょっとした校正・校閲をすることがあるけれど、些細なことも確認して裏を取っていく作業は大変なんですよ。だからこそ、ほんのちょっとのひっかかりが気になって調べないと気が済まないというのはよく理解できる。
雑多な要素を盛り込み過ぎて、まとまりがつかなくなってしまった感はあるが、とても面白い。歴史や考古学的な知識がたくさん盛り込まれていて、知らなかったことも多く、興味深い。
例えば、太田道灌が当初は夢見ヶ崎(加瀬山)に江戸城を建てようとしていたという話。不吉な夢を見て、ここは止めておこうと変更したのだとか。夢見ヶ崎動物公園には行ったことがあるのだが、こういったことを知っていたら、もっといろいろと観てくるのだったなと。
ちょうど、雑誌「武蔵野樹林」第1号を読んだ直後だったし、KADOKAWAさくらタウンに行ったばかりでもあったし、原付に乗り出して近隣を走ると河岸段丘を感じることも多く、武蔵野台地をまさに肌で感じていたところに読んだものだから、余計に縄紋の昔が身近に思えた。
大体、私が暮らしてきた地域は、縄文時代の遺跡が多い。
ただ、変に殺人事件と絡ませなくてもよかったような。SFファンタジーに徹した方がテーマがぶれなかったのではないかと思ってしまう。
文京ふるさと歴史館に展示されている縄文人骨が観てみたくなった。
千葉県に特徴的とされる廃屋墓、漆が塗られた土器や木製品、イノシシが生息していない地域、女体神社、湧き水、移り変わる北極星、そしてアラハバキ。刺激的なことがたくさん散りばめられていて、物語は置いておいてそれだけでも面白い。

『THE RESURRECTIONIST 異形再生 付『絶滅動物図録』』 エリック・ハズペス
「スペンサー・ブラック博士の生涯」と『絶滅動物図録』の2部構成。
RESURRECTIONISTとは、「死体を墓から盗む人、死体盗掘人」「再生させる人、蘇らせる人」という意味だそうだ。
19世紀後半、奇形の研究に生涯を費やしたとされるスペンサー・ブラック博士について、フィラデルフィア医学博物館が収集した日記や書簡をまとめて伝記としたのが前半。博士の研究成果である『絶滅動物図録』には、サテュロスやケルベロス、ドラゴンなどの解剖図が載っている。ちなみに、表紙はセイレンの骨格、裏表紙はガネーシャの骨格が描かれている。
博士の基本的な主張は、ヒトの奇形は、伝説として伝わっている異形の存在の遺伝的な名残によるものであるというもの。
前半の伝記部分では、若くして優秀だった博士が徐々に狂っていく様子が綴られており、興味深い。自分の考えに固執するあまり、躍起になってそれを証明しようと行動が変容していく。子供の頃から、解剖学者であった父に検体不足から死体盗掘を手伝わされていたというエピソードは、後の博士の人生に多大な影響を与えたであろうと容易に想像できる。
人に先んじて進んでしまう人にはありがちだ。成功した人というのは、それがたまたま当たっていたに過ぎないのかもしれない。
時代設定もいい。ヴンダーカンマー華やかなりし頃。医学も科学も微妙に未発達な時代。だからこその物語。記録も、手書きの書簡や日記、そして細密なスケッチ。
ちょっと学術寄りに過ぎるけれども、人魚や河童のミイラやヴォルペルティンガーが生まれた背景を覗き見たような気がする。
『絶滅動物図録』は、ただただ面白い。真面目に骨や筋肉の作りを想像しているところがいい。例えば、ヘビとライオンとヤギという3つの頭を持つキマイラは第三胸椎に相当な負荷がかかっていたはずだとか、3つの脳の支持でどうやって体が動いていたのだろうとか。
アホな考えも突き詰めると面白くなる典型。
一応言っておきますが、真に受けないでください。でも、Wikipediaにスペンサー・ブラックという項があるかもと調べたくなるような1冊。
posted by nbm at 11:42| Comment(2) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
スペンサーブラック博士
某局の科学番組フランケンシュタインの誘惑に
つうじるものがありますね
私はあの番組の医学編が大好きでしたが
前半は知らずに見損ねました
Posted by プリュム at 2021年02月26日 10:45
プリュム 様

ご無沙汰しております。
コメントをありがとうございます。

『フランケンシュタインの誘惑』には、惹かれるものはあるのですが、流し見はしても、今までちゃんと観たことがありません。
なかなか面白そうなテーマが取り上げられていますよね。
科学史の中であまり触れられてこなかった闇の部分。
ただ、真剣に科学に向き合えばこそ生まれるエピソードでしょうから、だからこそ興味深いのでしょうね。
Posted by nbm at 2021年02月28日 00:57
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