2011年07月24日

結婚飛行

昨夜のこと。
リビングにいると、羽蟻が次から次へと飛んでくる。風通しをよくするために玄関のドアを少々開けていたのだけれども、どうやらここから侵入してきているらしく、仕方なくドアを閉めた。
ちなみに、羽蟻はシロアリのこともあるけど、今回のはクロアリさんに羽が生えてるタイプ。

いつものように宏観現象を報告する掲示板を見ていると、羽蟻が大発生しているとの書き込みをいくつか見かけるのだけれども、どれもご近所(笑)
なるほど、今日はこの辺での羽蟻の飛行の日なのねと納得。
数日前、千葉辺りの人が、羽虫が大量発生していると報告していたのだけれども、それがこの辺では今日だったってことね、と思った。
にしても、書き込みを読むと、尋常でない様子。「コンビニの壁面に羽蟻がビッシリ」とか、積もった羽蟻を掃いて掃除していた人は「バケツ半分くらいになってた」とか、「虫柱がうねっていた」とか。
いくらなんでもそんな光景はお目にかかったことがない。
今朝、うちのマンションの廊下には、エントランスまで延々と数千匹の羽蟻の死骸が落ちていた。
ここには何年も住んでいるけれども、こんな光景は初めて。

種類まで特定できませんが、トビイロケアリでしょうか。体長は4mm程度、黒いと思ったのですが、死骸を見ると褐色に見える。
シロアリは主に5〜6月に飛ぶのだそうだけれども、クロアリの場合は4月末から11月頃まで、種類によってそれぞれに飛ぶ時期があるそう。
飛行の日は気象条件が整った日が選ばれるようで、湿度が高く、風が無い日が吉日(笑)
雨が降った後とか、台風の通過後によく観られるという話もある。
夜間に湿度が高いのはほぼ毎日のことだけど、台風の通過後という条件はピッタリ。

たまに大量発生するのは、この気象条件が整う日が少なくて集中するってことなのかな。
にしても、身近での大量発生は初体験だったので、気色悪かったですわ。

そういえば、思い出したのでもうひとつ。
夜、ウォーキングをしていると、ミミズが大量にのたくっている、もしくは干からびている日がある。
雨が降ると地中にいたら溺れてしまうので地上に出てくるとかいう話を聞いたことがあるような気がしていたのだけれども、実際は雨上がりとは限らないような気がする。
調べてみると、確かに雨の後、地上に出てくることが多いようだけれども、酸素が足りなくなるとか、逆に過酸素状態に耐えかねてとか、諸説あり。雨の音を天敵であるモグラの接近と勘違いして地上に逃げ出すという説もあり。中には、月齢と関連があるという説もある。地震の前兆という人も多いけど、これは眉唾かな。
地上に出てくる原因は何にしろ、アスファルトの上に来てしまって土に戻れなくなったという見方もできるけど、アスファルトがなくても、土の上でも干からびるそうだ。よって、”戻れなくなった説”は否定されるね。
結局、なぜ地上に出てくるかはナゾ。交接や食事のために出てくるという説もあるらしいけど、土に戻らないのはどうしてかってことになっちゃうね。

身近な生物でも、まだまだわからないことはたくさんあるものですわね。
posted by nbm at 11:46| Comment(4) | TrackBack(0) | 生物学系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月10日

身近な自然を見直す

数日前のこと。
ダンナさんが「ちょっと出てくる」と玄関を出たと思ったら、瞬間的に戻ってきた。
何があったのかと思ったら、「コレが、落ちてた」と。
”コレ”というのは、コクワガタだった。コクワガタのお客さんは今年2度目だけれども…えっと、今10月なんですけど?
ダンナさんによれば、コクワガタは越冬するという話。そうか、越冬するヤツもいるのか。
でも、すっごい元気。うちでは昆虫といえばお約束のスピンドル・ケースに入れて、砂糖水を与えると、カシャカシャと外周コースを歩き回ってました。
元気そうなので、今朝、雑木林に放ってあげました。がんばって越冬しろよ。

昨日、『NHKスペシャル』で「日本列島 奇蹟の大自然」というシリーズが始まりました。
最初の部分をちょっと見逃しちゃいましたが、なかなかに興味深い内容でした。シリーズ初回の昨日は”森 大地をつつむ緑の物語”というテーマ。
落葉広葉樹が広がった日本の森に、多種多様な生物が暮らしていることが紹介されてました。
古代の日本が大陸とくっついたり離れたりをくりかえしながら、新しく生物が流入しては定着していく様子。そして、潮流や偏西風の影響。
比較的温暖な気候が保たれ、種類豊富な落葉広葉樹の森が常に存在してきたことで、多種多様な生物が残ることができた、と。
日本の固有種の数は、ガラパゴスよりも断然多い131種。同じ島国でも、氷河に覆われた時代があるイギリスは固有種0。
島国だし、意外と固有種が多いという印象はもっていたものの、あんなに騒がれているガラパゴスよりも多かったのか。ま、日本は意外と広いしね。南北に長いし。

日本の固有種がいくつか紹介されてましたが、どれも日本人には馴染みがあり過ぎて、他の国にいないなどとあまり意識しないものばかり。
たとえば、ニホンザル。北限のサルとは知っていたけれど、外国人からは”スノー・モンキー”と呼ばれて珍しがられ、”雪とサル”という組み合わせが不思議な風景に見えるとは思いませんでした。雪景色の中、温泉につかるサルという構図は日本人にはお馴染み。
アカトンボ(アキアカネ)も固有種。夏前に田んぼで生まれてから山に向かって夏を過ごすとは、知りませんでした。生まれたときには赤くない体が、秋になってまた低地に帰ってくる頃には赤く染まっている。それを”アカトンボ”と呼んでいたわけですね。

この辺りには、タヌキがたくさん生息してます。
車にひかれるドジなヤツも多く、車の前を横切る動物がいて、猫かと思うとタヌキだったということもしばしば。
この夏も、ダンナさんの職場の裏側が見える道路を歩いているとき、敷地内を歩く小さな影を見かけましたが、それは子ダヌキでした。しばらく前からタヌキの一家が棲みついているらしく、その一画はケモノ臭いという話でしたが、そいつを目撃。
タヌキは、もともと東アジアの固有種で、その亜種としてホンドタヌキやエゾタヌキが存在しているらしいのだけれども、これが日本の固有種となるらしい。

やはり、日本の内側から見ていると、日本の良さはわかりにくいものです。
諸外国と比べてどうだと言われると、あらためて日本というものを理解することができるような気がします。
豊かな自然と、それを感じ取り、表現する感性。
番組では、日本の色彩の表現の豊かさと、種類豊富な落葉広葉樹の変化に富む紅葉などの色を結びつけて紹介してました。たとえば、”雪の下色”とは、降り積もった雪の下に透けて見える紅梅のほんのりとした赤い色を表すそうで、なんとも風流。
日本固有の文化が育った理由もまた、この固有種をたくさん育んできた日本の自然という土壌が無関係でないことが想像されます。

このシリーズ、いいなぁ。
次回は、「海 豊かな命の物語」。日本の海にすむ生きものが3万4千種で、世界一多いことが最近わかったそうですが、面白そうです。
放送は、NHK総合テレビで今晩9時から。
posted by nbm at 15:00| Comment(5) | TrackBack(0) | 生物学系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月17日

ミミック

ダンナさんは、たまにお客さんを連れて帰ってくることがあります。

この夏には、ぐったりと弱ったコガネムシくんを連れて帰ってきました。メタリックに光る緑色の翅をしています。砂糖水をティッシュに含ませて吸わせてみました。最初は、「なんじゃこれ?」とティッシュに近づかないので、鼻先に当ててあげたところ、「お?なんか美味いぞ」と気が付いて、それからは無心にチューチューしてました。少し元気になったので、翌日放してあげました。

先日は、小さな黒いムシくんを連れて帰ってきました。「奥さんは見たことがないんじゃないかと思って」と。それは、アリグモくんでした。
たしかに、まじまじと見たことはありません。その辺にいても、アリだとしか思わないことでしょうね。体長は1センチちょっと。少し艶のある黒い虫。横から見ると、まるっきりアリにしか見えません。一番前の足2本を上げて触角のように見せているらしい。でも、よくよく見ると足が8本。こいつ、昆虫じゃねぇ。
アリグモくんは、ハエトリグモの仲間で、文字通りアリに擬態しているクモ。Wikipediaによると、アリに擬態しているのは、以前はアリに近づいてアリを捕食するためと考えられていたものの、今ではアリが蟻酸で攻撃したりする性質を持つことからではないかと。アリに近づくためでなく、アリに似せて身を守るということなんでしょうか。
アリグモって、薄いベールのような巣を作るんですね。それでちゃんと虫を捕まえたりして食べてるんだろうな。巣は張らないと思っていたのですが、巣を作ることもあるんだ?

アリグモくんの写真を撮ろうと思っていたのですが、なんだかみるみる弱ってきたように見えたので、すぐに放してあげました。

結局のところ、なぜにアリに擬態しているのかというのは、これという定説がないようですね。
擬態する目的は、大きくわけると攻撃型と隠蔽型とがあって、何かに化けて相手が油断して近づいてきたところを捕食する擬態か、食えないものとか危険なものとか食べられない何かに化けて捕食されないようにする擬態かってことですよね。
だけど、このアリグモのように、なんで擬態してるのかようわからんてヤツもいるみたいです。要するに、見た目とその生態から、人間が勝手に解釈をつけているわけですからね。本当のところはわかりません。アリグモくん、きみは一体どうしてそんな格好をしているんだい?

そういえば、先日、NHKで熊田千佳慕さんを追ったドキュメンタリーを放送してました。昆虫の細密画を描く方です。ファーブルが大好きで、飽きることなく何時間も虫を見つめては、その絵を頭に焼き付けておいて、後で描くわけですが、その精密さったらありません。日本にいない虫は、標本を取り寄せて、それを観察しながら描いてましたが。その画法は点描。小さな点を打っていくだけ。なのに、あの生き生きとした虫たちの絵が描けるのはなぜでしょう。
ご自身のページにはあまり絵が載っていないので、コチラをどうぞ。「PingMag」というアート系のウェブマガジンのようですが、ご本人のインタビューも載っています。

熊田さんは画家ですが、熊田さんのように、情熱を持って、自然の中でアリグモを日々観察してくれる人がいたら、アリグモの生態も明らかになるかもしれませんね。
posted by nbm at 15:09| Comment(4) | TrackBack(0) | 生物学系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする